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パトリック・ハンフリーズ著『ポール・サイモン』

  • 杉山慧
  • 2017年7月13日
  • 読了時間: 2分

ポール・サイモン後期の名盤『グレイスランド』は如何にして出来上がったのか、についてパトリック・ハンフリーズが1988年に書いた書籍。

私がポール・サイモンを調べようと思ったきっかけは、たまたま読んでいた本で、ポール・サイモンの『グレイスランド』が紹介されており、それを聴いた時にVampire Weekendへの影響の強さを感じたらです。

Paul Simon / You Can Call Me Al(1986 From Graceland)

Vampire Weekend / Oxford Comma(2008 From Self Tittle)

ポール・サイモンと言えば、サイモン&ガーファンクル時代の「Bridge Over Troubled Water」などしっとりした曲をまず思い浮かべますが、『Graceland』では南アフリカへと渡り録音したことで、1980年発表のTalking Heads『Remain In Light』などと共にロックンロールを再びダンスミュージックへと引き戻したという意味でも大きな一枚ではないかと思いました。

この本は稀代のソングライターであるポール・サイモンのサイモン&ガーファンクル時代からソロの1988年までを時系列で語っていくのですが、読み所は、『グレイスランド』制作過程から発売後の社会に与えた影響まで13章~15章だと思います。

『We Are The World』と『Sun City』の違い、それに対するポール・サイモンのスタンス、アパルトヘイト時代の南アフリカへ渡って録音した彼の行動の真意とそれに対する社会からの反応まで、資料を調べ裏付けを取った上でなぜポール・サイモンが責められたのか、政治的な彼のスタンスと齟齬が浮き彫りになっていて、ポール・サイモンの考えるロックンロールとは何かがテーマとなっているように思いました。

この本の13章から15章に興味を持った方には、ノーナリーブス西寺郷太著『ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い』(ウィ・アー・ザ・ワールド研究の第一人者とも言える著者がその舞台裏に迫った本)と『ジャネット・ジャクソンと80’sディーバたち』(ジャネット・ジャクソンを中心に80’s年代のディーバを取り上げた一冊。ウィ・アー・ザ・ワールド以後のポップシーンにおいてSun Cityを一つの基点としているので、これを読めば別の視点からGracelandがなぜ重要なのかが分かるようになっています。)を合わせて読むことをオススメします。


 
 
 

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