Toro Y Moi「Outer Peace」1/26更新
- 杉山慧
- 2019年1月25日
- 読了時間: 2分
「Ordinary Pleasure」を昨年のBest Track Top 10にも選出したToro Y Moiがアルバムをリリースしました。年間ベスト1当確と言える一枚です!昨年のベストトラックに選出していた「Ordinary Pleasure」で想像していたアルバム像を軽々と超えてきた一枚になっています。
日本のバイクと思われる”カワサキ スロー イット ダウン”で始まる「Who Am I」は、自我の喪失や迷いを歌詞にしており、本作の全体のトーンを体現した一曲になっていると思います。ダンストラックを中心に歪みを含んだシンセサイザーの音色と歌声に彩られた本作は、ファンキーかつサイケデリックな高揚感が何度も訪れます。本作にはスローダウンさせる楽曲が4曲あり、内3曲ではゲストボーカルが参加することでアルバムのアクセントになっています。
彼の交友関係や日常の1コマ、30代を過ぎた事の変化やアイデンティティーに対する問いが、簡潔に全10曲31分の中に収められている。しかも、最長の楽曲で3分50秒弱となっていることで、テンポ良く場面を切り替わり、本作のギュッと引き締まった印象を補完している。その中で、高揚感を感じさせつつも聴き終わった後にはセンチメンタルな気分にさせてくれる物語性までも含めてしまう所が本作の聴き所だと思う。この感情を刺激するメロディと細かなノイズの高揚感は、彼がUSを代表するサイケデリックバンドであるフレーミング・リップスに通じるメロディメイカーである言えるし、本作はそれを証明していると思います。
私が本作を2019年の年間ベスト1当確の印を出している理由はもう一つあります。本作をシンセサイザーに着目して聴いてみるとビートルズからプリンス、Animal Collective、Sly & The Family Stone、YMO、J DillaにTame Impalaなどを一つの線で結びつけて聴くことができるなと気づかせてくれたからです。プレイリストを作成したので聞いてみてください。The Kinks「The Village Green Preservation Society」は同僚だったシンガーソングライターでFrozen Gapとしても活動する川原悠太朗くんに指摘してもらいました。色々楽しい音楽談義をさせてもらいましたが、活動の拠点を東京に移すとのことで、影ながら応援させていただきます。
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